(今更ながら、、)98’嵐の箱根フェス

さてさて、
今更ながら、箱根フェスの思い出です。

1998年8月29日〜31日と、
僕は箱根にいました。
そう、
台風4号が関東地方をモロに襲ったその時です。

なんで台風がくるのがわかってて、箱根に行ったか?

答えはひとつ、、
「ブルーグラス・フェスティバル」があるから。
8月最後の週末は、台風が来ても来なくても
箱根フェスなのです。

このブルーグラス・フェスティバル(略してフェス)は
春から秋にかけて一般にはほとんど、
というか全然知られてないけど(たぶん(^^;)
日本全国で結構やってる。

僕は今まで、
春の宝塚、岡山の美星、夏の宝塚、秋の宝塚、
そして箱根の各フェスに行ったことがあります。

岡山を除く他のフェスは、
全て野外ステージのあるキャンプ場で、参加者はテントを張ったり
バンガローを借りたりしてアウトドアしてるわけです。
もちろんそのステージで
学生から社会人までいろんなバンドが演奏するねんけど
ステージでの演奏がすべてではない。
ブルーグラスはバンジョー、ギター、マンドリン、ヴァイオリン、
ベース、ってゆうのが基本的な楽器構成。
つまり電気楽器が一つも無い。
だから道端でもどこでも演奏ができる。
だから、フェス会場のキャンプ場ではそこら中で
演奏してる。
バンドで練習してる場合もあるけど、
お互い知ってる曲を
みんなで演奏する(これをジャムという)
場合も多い。
初めて会った人ともすぐジャムが始まる。

今年は、春の宝塚、岡山の美星、
夏の宝塚、秋の宝塚、と行ったけど、どこのフェスでも
ステージの演奏が終わるのがだいたい夜中の1時か2時。
けどそれでは終わらなくて、朝までそこら中で酒飲みながら
ジャムしてる。

マニアックなパワーはすごいのだ。 (^^;

んで、話は箱根。
今年は神戸大からは、初日金曜日に17人、
土曜日に5人が箱根に行った。
#社会人のOBを含む。

僕は金曜から行った。
9人乗りのワゴンを借りて、
そのワゴンで行く車組と、
18切符でひたすら箱根を目指す電車組に別れて行く。

僕は車組で、朝9時に学校に集合し
テントや飯盒やランタン、バーベキューセット、
楽器や荷物を積み込んで午前10時過ぎに出発。

まぁ、台風来てるのはもちろん知ってたけど、
何とかなるやろぅ、と軽い気持ちやった。
それがいかにオロカな考えであったかを
思い知るのはもう少し先の話。

出発時、神戸も雨とは言うものの小降りであった。

ホントは名神→東名と高速を乗り継いで行くつもりやったけど
ドライバーがいきなり道を間違え、
名阪→東名と乗り継いで行くことに。
道が混んでて西名阪に乗ったのは12時過ぎ。
それでもまぁ、18時過ぎくらいにはつけると思ってた。
高速に乗ってからは順調に走る。
順調やけど、明らかに静岡に入ったくらいから
天気がどんどん悪くなる。
富士山を見るとかそんなことをゆうてる状況じゃない。
#毎年、箱根に行く時は富士山が見えない、、、 (;_;)

ちょうど富士山らへんを通過してる時に、
電車組から電話。
「今、熱海やねんけど(本来乗るべき)在来線が
不通。行けるとこまで行ってみるけど、、、、、」

あららら、、、
まぁ、しゃぁない。
時間さえかければ車でいくらでもピストンできる。

さて、箱根フェスの会場に行くには、
東名高速の「大井松田」というインターで降りる。
もうすぐ大井松田やなぁってとこらへんで
電光掲示板に
「大井松田・災害通行止」の文字が。

なんじゃそら。
「災害通行止」ってなんやねんっ!!
「事故通行止」やったらまだ分かるけど。
これは、、、車も着かれへんぞ。

しかしまぁ、通行止めなもんは仕方が無い。
一つ手前の「御殿場」インターでとりあえずおりた。
降りたものの当然、道はわからへんから
ガソリン入れがてらガススタの兄ちゃんに道を聞いた。

「大井松田の方に行きたいんやけどどの道行ったらいい?」
ガススタの兄ちゃん、
「大井松田は、、、、この道は通行止めで、、、
あの道も通行止めやな。南から廻っていく道が、、」
横におったおっちゃん、
「いや、あの道もあかんで。ふさがってる」
ガススタの兄ちゃん、
「う〜ん、ほなあかんなぁ。こっちからは行かれへんで」
#ほんとはこんな関西弁じゃない。
#けど、なんてゆうてたか忘れた。
#ゆうてた内容は大体こんな感じ。 (^^)

へ?、行かれへんって、、、、

横におったおっちゃん、
「うん、行かれへんなぁ」
ガススタの兄ちゃん、
「もう一回高速のって、大井松田の次の秦野中井で降りて
こっちに引き返してくるしかないなぁ。
その道も通れるかどうかわからんけど。」

御殿場の方から行けないのがはっきりしてる以上、
秦野中井から行かなしゃぁない。
ガススタの兄ちゃんにお礼をゆうて、
再び高速へ。
大井松田のインターを通過する時、
インターのとこが土砂崩れしてるのが見えた。
「なるほど、確かに災害通行止や。」

そしてとりあえず秦野中井で降りる。
んで、コンビニによって地図を立ち読みし、
道を把握。

後はその道が通れることを神に祈りながら
行くしかない。
道はかなり混んでたけど何とか通れた。

フェス会場の「夕日の滝キャンプ場」は
足柄山の地蔵堂というとこの近くにあり、
もう少し先に行くと足柄峠っちゅう峠もある。

ところが、やっと大井松田に着いて買い出しも済ませ、
ひたすらフェス会場目指して山道を行こうとすると
「足柄峠通行止め」
の看板が。
ま、まじでぇ〜。
まぁ、行けるとこまで行ってみよう。
と進んでいくと、
「地蔵堂〜足柄峠通行止め」

よ、よかった〜〜。
地蔵堂までは行ける。
ということはフェス会場まで行ける。

その頃、電車組から電話があり、
在来線が復旧したから、当初の予定通り
最寄り駅まで来れるとのこと。

よしよし。

んで、車は無事、どしゃ降りのフェス会場へ到着。
あらかじめ予約しといたバンガローに荷物を
運び込み、一息つく。
その時の時間は午後8時過ぎ。
約10時間のドライブやった。

すぐ、電車組を車で迎えに行く。
その間、俺らはフェスの現状を偵察。

僕は感動した。
まさかやってないやろぅ、と思ってたけど
ちゃんと演奏やってた。

箱根のフェスは、キャンプ場の中に小さい川があって
その川にかかる木の橋を渡ると野外ステージが
あるんやけど、今年はその橋の手前にタープをはって
マイクならべて臨時特設ステージにしてた。

どしゃ降りのなか、演奏する人、演奏を聞く人。
さすがに例年より人数は少ないものの、
台風がもろに来るのが分かってる山の中に
みんな当然のように集まってくる。
異常やな。(^^;
#神戸からやってきた俺らが言うのもなんやけど、、、

その夜は、雨は強いものの何とか
ステージは進行。
俺も演奏したけど、キャンセルバンドがいっぱい
あって、ほとんどプログラム通りには行かへんから、
自分の出番が何時になるのかがようわからへんのにはまいった。

結局、電車組も到着してやっとメンバーがそろい、
ちょっと練習しよか、ってとこで
「そろってるなら出てくれぇ」
となって、練習無しでステージ。
半分やけくそで演奏。(^^;

まぁ、そんな感じでどたばたしながらも
初日のプログラムは無事終了。
そのあとバンガローの中で酒飲みながら
ジャムしたり、ぎゃーぎゃー騒いだりして
明け方4時過ぎくらいに寝た。

翌日29日(土)、朝9時過ぎに目が覚めた。
それも俺らのバンガローで寝てた17人が
ほとんど同時に目を覚ました。

地震や。
それも結構大きく揺れてから、
弱い揺れが長く続く。
あの3年前の地震を経験してる人はもちろん飛び起きる。
してない奴でもとりあえず目を覚ます大きさやった。

カーラジオを聞くと、震度4.
おいおい、さんざん雨降って地盤緩んでるのに
地震ってしゃれならんぞ。
と思いつつ、空を見上げると晴れてる。
青空が広がり、太陽はさんさんと輝き
暑い。
これはサングラスいるで。
日焼け止めもいるで、
っちゅうくらい晴れた。

おぉ、神は見放さなかった。

と喜んだのはほんの30分ほど。
見る見るうちに暗雲たち込めどしゃ降りに。

それからは、強弱はあるものの、
雨が止むことはない。

それでもステージでは演奏が始まっていた。
午前11時くらいからかなぁ、またキャンセルバンド
がいくつかでるなか、なんとかプログラムは進行して行く。

午後からは社会人の人たちがどんどん集まってくる。
なんかすごい状況やったで。
台風が来てるって天気予報では言い続けてて、
もうそのままやんけっ!
って感じで雨が降りつづける中、
人がどんどん集まってきてタープ張ってマイク並べたステージで
10分刻みで次々とバンドが演奏していく。

午後10時頃、もうどうしようもなく
雨が降ってきて、ステージは一時中断。
#中止じゃないとこがすごい。 (^^;

少し小降りになるとすかさず演奏が始まる。
#「少し小降り」といっても
#普段ならどしゃ降りの雨。
#けど、あまりに降るから相対的に小降りに感じる。 (^^;

けど、結局午後11時半頃、PAさん
(マイクやスピーカーとかを持ってきてセッティングして
音量のバランスとかやってる人)
から、
「もう器材の方が心配なんでここらへんで、、、」
というストップがかかって、
(とっくに手後れやと思ったん俺だけじゃないはず)
それ以降に出演予定のバンドは日曜日の朝に繰越し。
もちろん晴れたらの話しやけど。

そのあとはバンガローで飲みながら
再びジャム。

僕はバンジョー抱えていつのまにか寝てた。(^^;

さて、翌日。日曜日の朝。
目覚めてみると昨日の豪雨はうそのようにおさまり、
青空は見えないものの小鳥はさえずり、
ステージでは既に演奏が始まり、小川では子供たちが遊んで、、、
るわけが無い。

「とだぁっ!!起きろぉっ!」
とたたき起こされた。

慌てて外に出てみると昨日よりも更にひどい豪雨。
というか、小川が氾濫してて
昨日ステージがあったとこらへんを濁流が流れていく。
ポールやらクーラーやらコップやらいろんなもんがプカプカ浮いて
流されていく中、テントを張ってた人たちが懸命に撤収作業をしてる。

なんじゃこりゃぁっ!!!

慌てて神大のバンガローの方に戻る。
#俺は東京から来てる人らのバンガローで寝てた。

まぁ、とりあえずみんな無事で
おお慌てで荷物をまとめて帰る用意をしてる。
もう当然、日曜のステージは中止。
ってゆうか誰も演奏しようなどと考えてない。

そうこうしてるうちに、
小川にかかってた橋が流された。

もうこうなったら、みんな必死。
荷物をまとめた人達から
みんな合い言葉のように
「気をつけてなっ!また来年!」
と言って帰って行く。

俺らは、とりあえず電車組を駅まで送り
その車が帰ってくるのを待って出発。
この時、午前10時過ぎ。

カーラジオの道路情報で、東名高速は
「御殿場」〜「秦野中井」間が通行止めになったってゆうてる。

ほんなら、御殿場より西までとりあえずいかなあかん。
そんな道わからへんから
コンビニで店員の目を盗んで地図をコピーし、
どうなるかわからへんからとりあえず食べ物を買って、
コンビニの駐車場を出ようとしたら、
見知らぬおっちゃんがコンコン、と運転席の窓をたたく。
「君ら今から神戸まで行くんか?」

レンタカーのナンバープレートはもちろん神戸やから
わかったんやろう。

「そうです。」
「高速止まってるからあかんで。
俺、沼津の方まで行くから後ろついてきぃ。」

おぉ、神よ。

沼津は、御殿場よりも大阪より。

それからは、
名古屋ナンバーのドラム缶と
ワラらしき物を積んだ白いトラックについて行く。

とりあえずおっちゃんは国道1号線に入り、西を目指す。
しかしそのうち1号線は大渋滞で全然進まなくなった。

どうやら通行止めらしい。
しかし、たぶん土砂崩れやろうから
へたに動くより復旧するのを待とうっちゅうことになった。
どれくらい待ったやろう。
フェスに来てた東京の人から携帯に電話が入る。
「どないや?」
「今、国道1号で復旧するの待ってるんです。」
「あかんあかん、国道1号は3日間の閉鎖が決まったで。
君ら復旧を待ってたら餓死するで。」

そらいかん。
あわてて前のおっちゃんにもそのことを伝え、
別の道を行く。

おっちゃんによると熱海の方から沼津の方に抜けるバイパスが
あるらしい。

まぁ、とりあえずおっちゃんの後をひたすらついていく。
海沿いの道を走ってると波がものすごい。
けどその海ではサーファー達がうじゃうじゃ。
そら確かに今日は波でかいわなぁ。

などと思ってたら、いつのまにか熱海についてた。
おぉ、ここが熱海か。
と思ったのも一瞬のこと。
消防署の前を通ったら、消防士がたくさんおって
土のうに砂を積めてはトラックで運んでいく。
妙に生々しかった。
改めて今えらい状況にある、ということを一同認識。

んで、その熱海から抜けれるバイパスも行けるとこまで行ったものの、
結局土砂崩れで通行止め。

Uターンして引き返してる途中、
ブルドーザーとすれちがった。
今から復旧に向かうんやろ。

そこで、さっき電話のあった東京の人に電話してみる。
「この道もだめでした」
「どうやら京都の人らが、南から廻る道で行けたみたいやで」

その道をおっちゃんにゆうて、再び出発。
結局、その宇佐美から修善寺ってゆうとこに抜ける
道は何とか通れ、無事沼津まで抜けれた。
おっちゃんは、用事があるから、と言って
高速には乗らず、去っていった。
ありがとうおっちゃん。
おっちゃんがおらんかったら道の全然わからん俺ら、
もっと時間がかかってたはずや。

沼津から高速に乗ったのは午後6時過ぎ。
フェス会場を出てから約8時間がすぎてた。
#いつもやったら8時間でついとるっちゅうねん、神戸に。 (^^;

午後8時過ぎに浜名湖サービスエリアで晩飯。
レストランで飯食べて、出てきたらどっかで見た顔が。
宝塚からフェスに来てた知り合いや。
おぉ、こんなところで。
しかもこんな時間に。
お互い大変やったなぁ。

と思ったら、どうやら違うらしい。
彼らは、高速止まってるのを知って
もうええわ、と思って
温泉にゆっくりつかってたらしい。

んで、のぉ〜んびりしてたら下りは復旧したから
高速のって帰ってきたらしい。

なんじゃそりゃぁ〜。
俺らは走りつづけてこの時間やっちゅうねん。

まぁ、お互い無事で良かった、と言いつつ別れる。

そのあとは順調で、特に問題なし。
けっきょく学校に着いたのは午後11時59分。
何とか日曜日のうちについた。 (^^)

約14時間のどしゃ降りロングドライブ。
学校で車から降りて、
雲の切れ間から星が見えた時は
なんか懐かしかった。

僕は大阪の自宅から学校に通ってんねんけど、
もう電車が無い。
しゃーないから後輩の家に泊まり、
持って帰ってきた関東版どんべぇと
関西版どんべぇの味比べをして寝た。

こうして、'98 嵐の箱根・決死の大作戦は無事終了したのだ。
ちなみに電車組は、
やはり小田原から在来線は不通になってたものの
新幹線は動いてたから三島まで新幹線に乗り、
そこからは在来線に乗り換え、18切符で無事帰ってきた。
彼らは午後8時過ぎについたらしい。
#俺らまだ浜名湖やったっちゅうねん。 (^^;

まぁ、かなりオモロかったし、
思い出に残るフェスやったんは間違いない。 (^^)

この時の写真はここ